NANAKOの海外移住日記

変化を好み移住をくりかえす5か国語話者です。母国日本も大好き。現在は台湾。

家の顔と外の顔

私の実家は一軒家なのですが、裏側にあたる家の庭と柵一つでつながっています。さらに隣の家はもっと近く、2メートルぐらいしかあいていません。

うちは窓をできるだけ長くあけ風通しを良くすることを好むので、裏側の家と隣の家の会話が頻繁に、それも筒抜けに聞こえてきます。

小学生のころ、私より3~5歳ほど下の兄弟が両親と一緒に住んでいました。母親は専業主婦で常にイライラしている人でした。
夜な夜な母親が小さな息子の宿題に大声でキレているのが、派手に近所に響いていました。しかも小学生の私が聞いても不理屈な内容。

「なんでこんな簡単なん間違えるんよ!これは~で~やから~ならなあかんやろ!」みたいなほぼ八つ当たりな内容でした。さらにひどかったのが、母親自身がキレながら教える答え自体がかなり間違っているという。この母親の頭脳、恥さらし以外のなんというのだろう。

3歳上の私はすでに習った内容。「しょっちゅう間違って教えてるであの人。やばない?言うたらんで大丈夫?」と私の父親に確認した記憶があるほどです。

ちなみに母親がヒステリックに子供の勉強にキレていたのはいつも算数でした。
子供ながらあの家庭に生まれなくてよかった、と思ったものです。

この一家はずいぶん前に引っ越して行きました。

 

次に引っ越してきた一家は4歳の一人娘を持つ家族でした。私はすでに成人していました。その女の子は私の家で飼っていた犬が大好きで、いつも話しかけていました。・・というか「〇〇!おすわり!」とかって犬の前でえらそうにするのが大好きでした(可愛い範囲です)。

なぜなら家庭の中で彼女は、いつも両親にえらそうにふるまわれていたからです。

お父さん「〇〇、ちょっと冰持ってきてくれ」

女の子「はい」

みたいな会話がしょっちゅう聞こえてきました。4歳の女の子をそんなにコキつかいますか!共働き夫婦ですが、家では子供に動いてもらうタイプだったようです。ちなみに口答えするとキレられていました。

時がたち、久しぶりに実家に帰ってきた今、隣の家から母親のえらそうな声が聴こえてきました。

「なんでその順番でやるわけ!?アホなんあんた!?」みたいなキレ声でした。うお。全く変わってない。

 

しかし一番ひどいのは裏の家です。

ホントにひどい。母親の言い方が。小学生の男の子がいるのですが、母親は言いたい放題です。

「男のくせに気持ち悪い」とか、洗濯を干しながらネチネチ言うんです。丸聞こえ。いっつも男の子に対し、文句を言っています。「気持ち悪い」と「おまえアホか!」が口ぐせです。男の子は一切言い返しません。黙っています。

数年前帰国したときも頻繁に聴こえ、今回帰国しても全く変わっていません。聞きたくもないのに聞こえる上に内容が本当に胸糞悪いです。

 

いや、なんか理由があるのかもしれませんよ。子供が実子でないとかね。そんな可能性だってあるし、パートナーのせいでストレスとか溜まってるのかもしれない。すべてがすべてその人のせいじゃないのかもしれない。それでもやたらとイライラして子供にあたる母親ってどうなのよ。これは断片で普段は優しいのかもしれないが、悲しくなります。(もう一方の隣は小学生の女の子がいますが幸せそうな家庭です)

でもこういう家庭って多いんじゃないかな。無意識にしてる人も多そう。

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日本は家の中でのふるまいと、外のふるまいが180度違う人がとても多い。男女ともに。実際に私の近所のおうちパワハラおばさんたちは、私には優しさ100倍の笑顔で挨拶してきます。背筋がぞぞっとします。

私も学生時代、そうでした。家の中では家族の気持ちを考慮せずに好き勝手発言し、友達の前では思いやりを持つ。そんな子でした。

欧州の文化に触れ、そんな自分を反省しました。欧州の家庭では家の顔と外の顔がほぼ同じだったからです。友だちと話すように旦那さんと話し、他の子供を気遣うのと同じように自分の子も気遣う。他人の子供を褒めて自分の子供を謙遜するなどといった発言も一切しない。

一番大事な存在を一番大事にするのはあたりまえでしょ。理にかなってる。

しかし日本では他人の子供と自分の子供が同じミスをしても、他人の子供には気遣って「大丈夫?」とかいうものの、自分の子供には叱ったりする場面が少なくない。おかしくない?

もちろん統計などではなく、私の主観です。そうでない人もたくさんいるはず。欧州だって完全に家の顔と外の顔が同じとは言えません。しかし20年日本に住んだ経験から感じる傾向はこうです。

日本 → 両親と子供の上下関係がはっきりしている。(両親は絶対的存在)

欧州 → 両親と子供が対等である。(子供に意見を求め、考えさせる)

 

親子間だけでなく夫婦間もそうです。6割以上がセックスレスという日本人夫婦のデータも無関係じゃない気がしますね。姑にいじめられる嫁も完全な上下関係ですよ。家族の前では言いたいこと言い放題、やりたいことやり放題、感情出し放題、遠慮全くなし。これじゃあいい関係は作れません。

それだけ外の世界がストレス満載で、家庭でぐらい好き勝手しなければやってらんない、とかいう人もいるかもしれません。いやあ、でもそんな人とは家庭作りたくないよね。そんな人の子供にもなりたくない。

家庭内での自分の発言や態度を一歩下がって観察し、気づき、改善の努力をすることが素晴らしいのではないかなと実家に帰って感じています。

思いやりのあふれる家庭はすばらしいですよね。

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「家の中=鬼、家の外=天使」という日本人像の真逆をいく文化をもつ国もあります。それは中国。

中国では家族をなによりも大事にし守り、それ以外の他人には超無礼。みたいな文化が存在します。まぁ、共産主義の影響もあるだろうけど。これも家の顔と外の顔が全然違う一例です。

日本とは違って大陸で、常に外部から攻められて征服されてきた歴史を見ると、他人に対する信頼感みたいなものが絶望的にないのでしょう。信用できるのが血のつながった家族だけ。他人=敵、みたいにふるまう人だって多い。それでも家族や親せきのためならお金の援助も惜しまない、皆で精一杯助けるというのはごく普通だったりします。

しかし50~100年前に東南アジアに逃げた元中国人たち(華僑)の子孫は他人に対しても優しく振舞ってくれる人が多かった。

家の顔と外の顔が二重人格みたいになる人ってやっぱ環境要因が大きいのかなと思ったりもします。でも主観的ですが、日本人の豹変度は恐ろしいレベルです。太宰治に共感出来る人はわかってくれるかと勝手に思います。

 

明日上海に戻ります。

 

では!