NANAKOの海外移住日記

変化を好み移住をくりかえす5か国語話者です。母国日本も大好き。現在は台湾。

ドイツの大学の厳しさ:理系学生のストレス

友だちのピットが昨日、鬱傾向で病院にかかることにしたと連絡がきました。大学の勉強で少しずつ溜まっていたストレスが、5学期目が終わった春休暇と一緒にどばっと来たみたいです。

 

大学は基本的に3年でカリキュラムが組まれています。が、3年きっちりで卒業した人は私が知ってる人でたった1人しかいなかった。早くて3年半、遅いと7年たっても卒業できない人とかもいます。

ピットは大学3年目。バリバリの理系で、工科大学の情報技術学科。

私が学んだ文系(哲学系)はおおまかに必須科目の試験と、選択科目のプレゼンテーションと論文で成り立っており、特に単位数が多いのは後者でした。出席日数もチェックされました。

しかし理系は最初の2年はほぼ必須科目のみ。〇学期目にどの科目をやる、というのがほとんど決められている。そして出席も自由。講義に出なくてもインターネットですべての資料がみれるようになっているし、補習授業に行く行かないも自由。とにかく試験に受かればいいのです。受かれば・・・・。

 

電気工学科のある必須科目(2017年)の試験結果を例にとってみてみましょう。

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票の見方は
縦が人数
横が点数

 

ドイツの大学の点数のつけ方は
良いほうから

 

1,0 = 90%以上
1,3 = 90%
1,7 = 85%
2,0 = 80%
2,3 = 75%
2,7 = 70%
3,0 = 65%
3,3 = 60%
3,7 = 55%
4,0 = 50%
5,0 = 不合格

 

です。

ということは、5,0だった90人(28%)が不合格!ギリギリの4,0が40人。ギリギリと不合格だけですでに半分近く・・・?まじ?

しかも平均点は3,53と出てますから60点にも及んでないです。ちなみに不合格だった人はもう一度、来学期に同じ科目を受けることができます。そこで受かればセーフ。落ちたら・・・この科目は最後のチャンスとして教授との面接試験があるそうです。

しかし基本的には、2回同じ試験に落ちたら学科を変えるか、別の州に行って一からやりなおすか(同じ州の大学で同じ専攻はできない)、またはやめるか、の三択になってしまいます。これは文系もおなじ。私の学科も2回落ちた時点でアウトでした。

とにかく一つ一つの試験に受かることがめちゃくちゃ難しい。

なのでほとんどの学生は勉強が追い付かず、落ちたりいくつかの試験を先延ばしにしたりして3年以上大学にいることになります。

しかしピットは以前、

「自分は、頭の良い学生ではない。ただ真面目にやっているから今まで一度も試験に落ちたこともなければ先延ばしにしている試験もない。たくさん落ちる試験でもギリギリの4,0で合格してることが多い。良い成績を目指すと精神的に限界がくるんだ。だから成績が悪いと落ち込むのではなく、合格したことを誇りに思うことにしている。」

という持論を展開していました。

非常にバランスの良い考え方だと思います。しかしここに来て、先月にあった2月の試験に体調不良のため受けられず、そこから少しバランスを崩してしまったようです。休養も必要ですね。

ドイツの大学では、自分の能力と大学が求める能力を常に客観視し、いつまでにどの課題を終わらせるか、どの試験を受けるか、いつ実習に行くかなどの計画をなるべく細かくたてて定期的に修正すること、もっといえば戦略を熟考することが何より大事なのです。

自分を過大評価してしまったり逆に自信喪失したりするのがまずいのと同じぐらい、判断を間違っても失敗するのがドイツの大学なのです。

私は実際、何人もの学生が学科を変えたり辞めていくのを見ました。そういう学生はとても多いんです。

しかし大変だな理系・・・。こんなにたくさん落ちる試験に卒業するまでひたすら合格しなあかんなんて・・・。

 

ドイツの若い世代にうつ病が増えているというデータがあります。

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18歳から25歳までの若い世代を対象にした調査です。2005年から2016年までのあいだに鬱症状(黄色)のある人は右肩上がりに増え、そのうち抗うつ薬が必要な人(黒色)も少しずつではありますが上昇しています。

 

こちらは学生と就業者にわけたデータ。

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上昇傾向の黒色が女子大学生、青が男子大学生です。横線は年齢。年齢が高い学生ほど鬱傾向が多いというデータです。下降傾向にあるのは学生以外の若者(上が女、下が男)。こちらはきっと仕事を始めたばかりのストレスが最初に多く、30歳頃には安定していることがうかがえます。男性よりも女性のほうが明らかに数値が高いのも特徴ですね。

じゃあ年齢とともに鬱傾向が強くなる学生の原因は何?

ひとつの原因は明らかにピットのようなパターンでしょう。長期的に努力しなければならないストレス。19歳の頃より22歳のほうが内容は高度になっているし、大学、大学院、博士課程とあがるたびに課題も難しくなっていく。なんとか真面目にクリアしててもどこかで限界がくることもあります。

あと考えられるのは金銭的な不安と将来への不安。いくら学費が無料だとはいえ、親からの援助を受けていない多くの学生は金銭的な不安を持っています。ピットもそう。兄弟が多い上に、田舎に広い土地を持っているため国からの援助(奨学金)が受けられない。生活を切り詰めていても、月の終わりにはいつも10ユーロぐらいしか残ってないとぼやいていました。来学期は大学でバイトを検討しているそうです。休んでまた元気になるといいな。そして思い通りに単位が取れなかったり、自信を失ったりすると、年齢が上がるにつれて将来の不安が増えるのも理解できますね。この原因が一番大きいかもしれないと思います。

じゃあどうすれば心身ともに健康な学生生活を送れるのか?

私が思うのはやるときと休むときのメリハリをつけることかな。学期の終わりごとにある2か月の休暇は、論文や実習で1か月作業したとしても、残り1か月の休息時間がある。うまくストレスを発散し、リフレッシュして新たにモチベーションを作ることが大切だと思いました。といっても大学のシステムもさまざまで、学期終わりに試験が一気にある大学もあれば、休み期間にテストが2週間ごとにあるところもあるので、ほとんど休んだ気がしない人もいるだろうな。

あとは「自分はもっとできるはずだ!」なんてプライドが先行すると苦しくなります。それは他の学生と比べてしまうことから始まってしまいます。そんな場合は過去の自分と比べること。過去の自分より成長していることで自信を取り戻せることだってあると思います。

 

友だちのストレスを目の当たりにして、私個人的にはプレゼンだって論文だってそれなりに大変だったけど、理系って試験が多い分もっともっと大変なんだろうな。と思った次第でした。私には到底そんなキャパありません。

 

Tschau tschau!