多言語話者の海外移住日記

変化を好み移住をくりかえす5か国語話者です。母国日本も大好き。現在は台湾。

ドイツ大統領の役割って?

最近ドイツで行われたカーニバル(Faschingsumzug)を見学するメルケル首相の姿が・・・。見てくださいこの楽しそうな・・。

 

やることが多すぎて愛想振りまいてる余裕すらないのよ的な姿勢を隠そうともせず、手拍子もせず、いつものように両手を前に組んで目の前のダンスを凝視しているメルケル首相。コスプレをしたり手拍子をして雰囲気に同調する努力をしているか、少なくとも笑顔はうかべているメルケル内閣をよそに、首相だけが凍った世界にいるかのようです。

メルケル首相の不愛想さは、今回だけでなくあらゆる場所でアップされており、よくネタになっています。トランプ大統領ほどではないけれど。難民受け入れで支持率を下げてはいるものの、アカデミックな人々の首相に対する反応は、私が見る限りではネガティブには見えず、むしろポジティブな要素を多く感じます。もっと支持率あるんじゃないかと思うぐらい。

 

でもなんで首相がこんなに嫌々そうにカーニバルのようなイベントに出てるのかな?誰かそういう仕事を分担できる人はいないのかな?日本だったら行事やイベントには天皇陛下がにこやかに出席されることが多くなごやかな雰囲気が流れますが、ドイツには天皇がいません。でも大統領がいる。大統領はまさか血筋でなるのではなく、内閣の投票で選ばれます。

そもそも首相は毎日毎日ニュースに出てますが、ドイツの大統領ってそんなに出てこないです。他国の大統領ってもっともっと権力を持ってるし目立ってない?首相と大統領が両方存在する韓国やロシアだって政治のトップは大統領です。しかしドイツは首相が国のトップなのは明らかです。

じゃあドイツの大統領ってどんな位置にいて、どんな役割を持っているんだろう?ドイツの政治初心者なりに調べてみました。

 

・大統領はドイツの代表、もっといえば”ドイツの顔”である。

・政治に対する直接的な権力はない。

・政治に対しては中立的な立場である。

・海外からの大使館の受け入れや許可。

・議会が決定した国同士の協定に対して、是非を判断する権限。

・最高裁判所裁判官、国会議員、軍隊の指揮官を指名する。

・裁判所が決定した罪人に恩赦を与える権利。

・変更されたすべての法律の是非を判断する権限。

 

最初の2つだけなら天皇と似た役割だな~って感じですが、持つべきスキルは全然違う。一言でいえばドイツの大統領の役割って、内閣を客観的にチェックする人、もっと言えば最後の砦の人って感じですね。実際に議会の出す特に重要な決定(法律の変更や海外との協定)は、最後に大統領が署名がしなければいくら内閣が全員一致でも戻されます。物事だけではなく、人に対してもその権利を持っています。

 

でも軍隊の指揮官を指名する権限まで持ってるなんて、実は大統領って一番権力あるのでは?という疑問がわきます。が、そんなことはないです。大統領は実際に軍隊を動かすことはできません。その権利は内閣にあります。それに内閣は、大統領をやめさせる権利も持っています。お互い同じ権限を持っているのですね。お互い協力しながら、考えて決断するほうとその決断をもう一度見極め、決定するほうに分けるっていういわゆる権力分立のシステムなんだと理解しました。実権は内閣、つまり首相がほとんど握っているということです。

どおりでメルケル首相のほうがあんなに注目されるわけだ。

 

 

ドイツの大統領の役割についてはおおまかに理解できました。大統領には政治や法律の知識と経験は大前提として、与党とおおかた考えが一致しているものの、あくまで中立的に一歩下がってものごとを判断できるスキルが求められそうです。

 実際、大統領はどんなキャリアを持っているのでしょう?

 

・シュタインマイヤー大統領(2017、3月~現在)

ブルーカラーの両親のもとに生まれたものの、高校時から政治活動をスタートさせSPDに入党。大学では政治と法学を学び、弁護士の資格を持つ。1998年にSPDが政権をとったときには目立たぬ実力者として信頼を得ていたという。2005年にCDU、CSU,SPDの連立政権が成立し第一次メルケル内閣が発足したときには外務大臣に抜擢された。SPD時代の大統領を含む主要政治家からの評価は非常に高い。

 

大統領になるべくしてなった人って感じですね。情報によると、色んな分野に精通し人望も厚くて実力も高い。その証拠に連邦議会の投票では圧勝で選ばれています。

その前の大統領はどうだったんでしょう。

 

・ヨアヒム・ガウク大統領(2012~2017)

貿易船の船長と事務員の両親に生まれる。第二次世界大戦中に父親が秘密警察に連行される。どの政党にも所属していなかったため大学は希望する学部に入れず、仕方なく神学部に進む。のちに牧師になり、支援活動に精を出します。その後も”市民派”って感じの経歴をたどります。東ドイツの旧体制を批判し崩壊に貢献したものの、政治家にはならずにテレビ番組や講演活動を中心に行い、政治家としてのキャリアはほとんどありません。SPDに誘われても入らず無所属をとおします。2010年の大統領選ではヴルフに僅差で敗れたものの、ヴルフが汚職で辞任したためガウクが就任した。

 

 へーこっちは全く別の場所から出て来てるんですねー。ちょっと左っぽいのかなと思ったら大統領だった期間に極右政党のAfDに対し暴言を吐いて、同党から提訴されたこともあるそうです。立場の弱い者にたいする温かいエピソードも数々あります。人道主義的な思考だって政治には必要だよね。じゃあ汚職して辞職したその前の大統領の経歴は・・・?

 

・・・きりがなくなるのでここでやめます。ウィキペディアで簡単に調べられるしね。

 

イベントって首相が出るの?お飾り的な存在の大統領が出ないの?という疑問から始まった今回ですが、大統領の仕事内容も政治的に大事なことばかりで、時間がいくらあっても足りなそうです。そうでなくても大使館や時に皇室を接待するような外交イベントは大統領の役割っぽいし、国内のイベントは首相とこちらのほうも役割分担している可能性が高いですね。

 

上の動画だけではメルケル首相のイメージがホントに笑わない人かと思いそうなのでよければこちらもどうぞ。あのイベントから10日後の映像です。

 

 記者が与党ナンバー2の女性に「あなたは与党の第二書記として~・・」と発言を促した時に、すかさずメルケル首相が横から「彼女は第一書記よ」とつっこみます。ナンバー2の女性は何もなかったかのように話し始めますが、直後に自分自身が第一書記だったことに気づき、自身の失言を皆と笑うちょっぴり愛らしいメルケル首相。

 

Tschüß!