NANAKOの海外移住日記

変化を好み移住をくりかえす5か国語話者です。母国日本も大好き。現在は台湾。

チュニジアの銭湯

銭湯ってさ・・・すっぽんぽんで入るのが常識ちゃうの?

私は過去に半年ほどチュニジアのご家庭でホームステイをしていました。私が来た時、トイレとくっついているシャワールームは物置き場になっていました(もちろん浴槽はない)。え?シャワー使ってへんのかな?それともあそこに物を置いておかないといけない理由があるのかな?と疑問に思いました。

それからは私が毎日シャワーを浴びるので物置きになることはなくなりましたが、一体この人たちはいつ体や頭を洗っているんだろう?と不思議に思っていました。私がいないときにでも入ってるんだろうと思っていましたが、ちゃうちゃう。人によってはほとんど家でシャワーをあびないんです。

彼らは1~2週間に一度、大衆の銭湯にいって数時間かけて体を磨き上げた後、数日間はそのまま、というサイクルの人が多かったんです。

私は一度だけ、ある日の午後にお母さんと娘さん(17歳)と一緒にチュニジアの銭湯に連れて行ってもらいました。そこは私が想像する日本の銭湯とはかけ離れたものでした。いや、向こう側からすると、私の習慣のほうがおかしかったのです。

 

まずこちらの銭湯の中はものすごい広いです。一般的な日本の大浴場よりも全然広い。天井も驚くほど高かったです。

 最初にお金を払い、更衣室に入ります。これは日本となんら変わりません。更衣室には鍵つきのロッカーがあり、服を含めた持ち物をすべて入れることになっています。しかしここから先はカルチャーショックの連続。

当たり前のように服を脱ぎ、ブラジャーを取り、パンツをおろした私を見て、お母さんと妹が驚愕しました。彼女らは一瞬言葉を失い、固まりました。そのあと妹が大慌てで私のパンツを再びあげました。

 

え?( ゚Д゚)

 

パンツ脱いだらあかんの?

 

びっくりして尋ねると、「当たり前でしょ、一番大事なところは誰にも見せちゃだめなんだよ」と言われました。

こういうところにムスリムの保守的な面が影響してるんだなあと思いました。女性しかいない場所でも下半身は隠しておかなければならない。生涯たった一人の男性だけが見てもいい特別な場所ということなのかと納得しました。しかし男性もパンツをはいたまま入るそうです。男性も保守的なんですね。もしかしてただの羞恥心?

 しかしパンツ脱いだらあかんかったら中はどうやって洗うのよ・・まさか洗わないとか?と疑問だらけのまま、しかもパンツをはいたまま、いよいよ中へ入ります。このパンツ、当たり前やけどびしょびしょに濡れたままはき続けるんよね・・と思うと慣れなくて気は進みませんでした。次回機会があったら、ビキニの下をはいていこうと思いました。

 

ドアを開けると細長い部屋があります。通路の右半分には1メートルほどの高さの石の台があり、その上に女性たちが裸で(パンツをはいたまま)寝転がっています。その女性たちの身体をこすってきれいにしているのは、タオルを体全体にまいた女性スタッフたちです。10人ぐらいいたスタッフは全員中年のおばちゃんで、全身汗だくできつそうでした。中は湯気だらけで熱くなっており、お客さんは次から次へとやってきてこすってもらうのを待っています。本当に体力のいる仕事だなと思いました。そしてこすってもらっているお客さんの身体から出まくる大量のアカを見て、ちょっと引いてしまいました。

 

しかしスタッフにこすってもらうのは最後の行程だそうです。先に銭湯で体を洗うため私たちはさらに奥へ入りました。とても広く、天井も高く、サウナのように熱気がある場所でした。パンツ一丁の女性たちがたくさんいて、中で体を洗っていました。しかし浴槽はありません。浴槽どころかシャワーさえありません。サイドの隅っこに蛇口がいくつかあり、真ん中にはとても大きくて腰ぐらいの高さの石でできた台が、どーんとおいてありました。小さな石の台も方々にたくさんありました。向こうサイドにはトイレのようなドア付きの小さな部屋が並んでいました。

これを見た瞬間、先ほどの謎が解けました。

あそこへ入ってドアを閉め、パンツを脱いで思う存分洗うわけだ・・・。

 

女性たちはみな、5リットルぐらい入る大きなバケツを2,3こ持って蛇口にお湯を汲みに行き、それぞれ好きな場所に持って行ってバケツのお湯をすくい、頭と体を洗っていました。蛇口と台をひたすら往復します。私もお湯汲みを手伝おうとしたところお母さんは「これにはコツが必要だから、初めての子がやるのは危ない」とやらせてもらえませんでした。17歳の妹もまだできないようで、私たちは二人で石の台に座ってお母さんがお湯を運んで来てくれるのを待ちます。私たちが先に髪と体を洗う間、重たいバケツを何度も何度も運ぶお母さん。母ってたくましい・・。

でも危ないといったのは理解できました。床はツルツルびしゃびしゃで滑りやすく、バケツの持ち手は非常に細くてバランスもうまくとれません。私がやったらきっと派手に転んでいたでしょう。

 

やっと髪を洗い終えたところでお母さんは、中央の大きな台に私を寝転がらせました。そしてやわらかいタワシのようなもので、パンツの中以外の私の身体を念入りにこすってくれました。「気持ちいいでしょ?」と言われた通り、とても気持ちよかったです。「あなたは毎日シャワーしてるから念入りにする必要はない」と言われましたが、二の腕あたりは少しアカが出てきてきれいになった実感がありました。

 

お母さんは次に娘を呼びましたが、彼女は嫌がってきませんでした。彼女は1週間以上シャワーを浴びていなく、体中がアカだらけだったのを私に見られたくなかったようです。素手で腕をこするだけでもアカがポロポロ出ていました。しかし銭湯にいたほとんどの女性は彼女のような状態でした。みんなアカだらけで、一生懸命こすりとっていました。こすってもこすってもまた出てくるので大変そうでした。最後にスタッフにこすってもらうのも、自分では取りきれない部分のアカを全部出しきるためなんだなとわかりました。

さらにこんなこともありました。

チュニジア人はとてもフレンドリーです。中国人でさえほとんどいないチュニジアでアジア人は非常にめずらしく、私はよく見知らぬ人に声をかけられました。私も短い会話はよくします。銭湯の中でもそれは同じでした。色んな人に好奇心いっぱいの目でじろじろ見られました。隣の台にいた若い女の子が「肌の色が白いねー」とかめずらしがって声をかけてきたりしました。あげくには「アジア人はみんなそんなに華奢なの?おっぱいが小さくてかわいそうだわ」「もっと食べなきゃ」とか本気で同情されました。おかしくて笑ってしまった。だって私はこの中では、本当にみすぼらしい体に見えたから。

言い訳が許されるなら私、日本人には別に大きくはないが小さいねとも言われたことはないのですが・・・この言われよう。

チュニジアの女性は太ってる人も多いけど、持って生まれたスタイルが非常に良いです。そして肌が厚く健康的です。華奢な人はいません。ホントにいません。一般的な日本人の体系とかけ離れた印象を持ちます。みんなおっぱいも大きい!形もとてもいい!足も長くてグラマーです。私はあの中では間違いなく圧倒的に胸の小さい華奢な身体でありました。

アジア人が一人でここに来るのはちょっと勇気いるかもしれません。

最後に私は促されてお湯をもってトイレの部屋に行き、パンツの中を1人で洗って終了。しかしパンツがびしょびしょのまま動き回るのは最後まで気持ち悪かった。

 

そして私は、銭湯での過程をすべて終了しました。あとは待つだけです。お母さんと妹がすべての過程を終わるのを少なくとも2時間ぐらいは待ちました。サウナのような熱気の中で。お母さんも妹もすんごい時間をかけて念入りに髪と体を何度も何度も洗っていました。途中でスタッフのいる部屋に移動し、2人とも体をこすってもらっていました。しかしそのあと再び銭湯に舞い戻り、さらに念入りに体を洗っていました。表現のしようがないような大胆な格好をしながらすべての部位を、何度も何度も。。。そりゃまた1~2週間そのままでいるんだったら必要だよねと納得しました。

 

結局その日の午後は、銭湯だけでつぶれました。帰ってきたらもうすでに夜でした。あまりに長く中にいたため私はふらふらでしたが、お母さんと妹はさっぱりきれいになり、とても満足そうでした。私のチュニジア初銭湯の感想は「めっちゃ疲れる」いや、「無駄に疲れる」でした。贅沢かもしれないけどやっぱり毎日ちょっとずつ入りたい。もう行きたくないや。濡れたパンツもはきたくない。

 

中には銭湯は疲れるからと、家でシャワーを浴びる人もいるそうです。ホストファミリーの息子さんはおうちシャワー派でした。(何日に一回かは知らないけど!)

 

後日、日本の母に話すと、日本の銭湯だって昔はシャワーなんてなかったんだから蛇口からお湯を汲んできてたんだよ、きっと私が経験したことと同じ雰囲気だったんじゃないかと言われ納得しました。数十年前の日本の経済状態が現在のチュニジア。アラブの春の後のチュニジアなのですね。豊満な人が多く、食べ物は豊富な状態ですが現在まだまだ治安も悪く、失業率も高く、男尊女卑も残っており、外で見かける人は80%が男性、女性は家の中にいる事の多いチュニジア。今回の銭湯はチュニジアの人々の生活にまさに密着でき、習慣や文化を垣間見れた貴重な体験でした。数十年後もまだパンツはいて入ってるのかな?今後チュニジアがどのような姿になっていくのか、ぜひまた見にいこうと思っています。

bis bald!