NANAKOの海外移住日記

変化を好み、移住をくりかえすマルチリンガルです。母国日本も大好き。現在は台湾。

初めての海外の友だちと衝撃の言葉

小学生だったある夏、家族でカナダ・アメリカ旅行に行きました。当時海外旅行を経験した子ってまだほとんどいなくて一般的ではありませんでした

 

私はお金持ちでも貧乏でもないごく一般的な家庭で育ちましたが、倹約家だった両親は郊外に住んでいるにもかかわらず車を買わず、モノも買わず、外食もほとんどせず、家のローンをこつこつ払うといったつつましい生活を選択していました。

そんな両親が莫大な金額を投資して連れて行ってくれた海外旅行は、当時10歳だった私の狭かった視野を一気に広げてくれました。

 

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観光をしていたある日、あれは船のクルージングの時でした。ある通りすがりの小さな女の子が私に向かってにっこりと笑いかけてくれたのです。その女の子は私のそばを通るたびにとってもカワイイ笑顔を私に向けてくれました。今にくらべてアジア系がそこらへんにいなかった時代です。特に子供は少なかったのでめずらしかったのかもしれません。

 

とにかく私はその女の子の笑顔にそれはそれは魅了され、どうしても友達になりたい!と思いました。だって日本じゃ知らない子が私に笑いかけてくれるなんて見たことがありません!母に相談すると「じゃあこの5円玉をあの子にあげたら?」と5円玉を手渡してくれました。穴のあいている日本のコインは海外ではめずらしいのだと母は説明してくれ、「ジャパニーズコイン プレゼント ユーって言うのよ」と声のかけ方まで教えてくれました。

 

勇気なくてそれから30分ぐらい迷ったけど、結局意を決してデッキから海を見ていた彼女に近づき、突然5円玉を差し出して「ジャパニーズコイン プレゼント ユー」と教えられたとおり言いました。すんごい緊張したのであの時の事はまだ鮮明に覚えています。彼女の反応はとても落ち着いていて、突然の異国人からのナンパにも驚かなかった上に「サンキュー」と可愛い声でお礼を言って素直に5円玉を受け取ってくれました。すごくうれしかった。アメリカ人の子って優しいなー!と感激しました。

 

そこで私たちを見た彼女の母親と私の母が言葉を交わし、なんと母が住所をゲットしてくれました。一緒に写真も撮りました。彼女は私より1つ年下だったと記憶しています。すごくしっかりしたフレンドリーな子でした。

 

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携帯とかPCがまだ普及していなかった当時の連絡手段は文通でした。私は日本に帰ってすぐに手紙を送りました。英語などなんにもわからなかったので母の助けを借りました。内容も母がほとんど考えたものでしたが、アルファベットだけは自分で一生懸命写しました。内容は主に私は日本という国からきて、アメリカとこれぐらい離れていて、こんな国です。みたいな紹介だったと思います。手紙の他に日本っぽいシールも一緒に送りました。

 

返事はけっこうすぐに来ました。届いてからすぐに書いて出してくれたんだろうと思います。お返しのシールも入っていました。しかし母が訳してくれた彼女の手紙の内容の一部に私は強い衝撃を受けました。

 

”私は今まで日本を知らなかった。でもあなたが日本人だと聞いてから地図を見たから今は知ってるわ。”

 と書いてあったんです。

ボーゼンとなりました。

なんで?なんで?私や私の友だちはみんなアメリカを知っているのに、アメリカ人は日本を知らない??私の国ってそんなにちっぽけだったんだ!

10歳の私はすごく混乱しました。確かに地図をみたらアメリカは日本の何十倍も大きい。日本は全然目立たない。

でも、”日本という国を世界の人は知らない”という発見は大きなものでした。私はそれまで日本はとっても大きい国で、誰もが知っていて当然だと思っていたから。世界地理の授業で日本が世界の一部であることは知っていたものの私の中では当然日本が中心でした。でもそうじゃなかった・・・。

 

この出来事は私に”外”の存在をはっきりと印象づけました。今私が見えているものや環境の存在すら知らない人がいる。たくさんの遠いOR別世界があるのだ、ということを。ほんとに衝撃でした・・。小さなうちに視野を広げてくれた両親と初めてのアメリカ人の友だちに感謝です。

 

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 海外の地にいき、祖国を出たことのない現地人と現地の言葉で会話すると”祖国は海外ではそこまで知られていない”ということをまさに知らない人に多く出会います。他を知らないから比べようがなく自分の場所が最高だと誇りを持って外国人の私に語る人々。彼らはまさに、10歳の頃の自分そのものなのだなと重ねてしまうのです。

 

インターネットが発達しグローバル化も進んでいるといわれる現在でも、今だに”日本って中国の一部だよね?”と本気で聞いてくるドイツ人がいるということ。”アジア人ってみんな中国語使うんだよね”と認識しているハンガリー人がいること。アジア系の顔は皆中国人だと認識している北アフリカの子供たち。

日本のことを中華人民共和国日本省だと思っている人がどれだけ多いことか。そしてそう認識している人が世界中に(けっこう)いる事実を知らない日本人は意外と多いんじゃないでしょうか。日本と中国仲悪いのに勘弁とか思いますよね。中国と日本が小さい小さい島の取り合いで揉めていることなんて、ほとんどの人たちにとってはわけがわからないでしょう。信じられないと思いますか?そうなんです、私だって10歳のときはまじで信じられなかった。

 

 母国から出ず、価値観も変えず、学ばず、視野の狭いままで一生を過ごすのは楽で幸せかもしれないけど、最強のパスポートがらくらく手に入る国に生まれたにもかかわらずそれを放棄するのは、やっぱりもったいないなあ・・と思うのでこれからも存分に利用したいと思っています。

 

Danke!